2008 Fiscal Year Annual Research Report
寛解を目指し化学療法を受ける白血病の高齢患者の認識、姿勢及び思いに関する探究
Project/Area Number |
20791771
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
福山 美季 Kumamoto University, 医学部, 助教 (40452875)
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Keywords | 白血病 / 高齢患者 / 認識、姿勢 / 思い / 質的研究 / グラウンデッドセオリー |
Research Abstract |
本研究では、化学療法を受ける白血病の高齢患者自身が、インフォームドコンセントを与え、治療に臨む過程において、疾患や療養生活についてどのように認識し、またどのような姿勢・思いで臨んでいるのかに関する具体的な理論の構築と理論の実践への活用を目的としている。分析方法として、グラウンデッド・セオリーを使用し、分析を行う。平成20年度は、調査依頼を引き受けていただいた医療機関において、65歳以上の白血病の高齢患者に対してインタビューを開始した。インタビューにあたっては、患者の疲労・緊張を考慮し、適時声かけを行い、患者が希望する場合、家族の同伴を認めて実施している。また、白血病の高齢患者の治療に関する文献収集と調査機関の医師の治療内容の判断に関する情報の収集を実施している。分析方法に関しては、グランデッドセオリーの書籍による学習やワークショップへの参加、また、実際に同様の方法を用いた研究成果を持つ知人に分析の実際を学ぶなど本研究の分析と同時に継続して学んでいる。研究開始後1年間で、10名の高齢患者へのインタビューを実施、分析を行っている。従来の高齢者の医療に対する姿勢ではお任せ医療という点が強調されたり、治療体験を通しての成長というところに焦点が当てられてきた面もあると考える。しかし、本研究では、告知の場面から実際に治療を受けている段階、そして寛解に対する認識・姿勢・思いについて、高齢患者の体験はより深く、複雑なものであることがわかってきた。近年、看護の分野においても、患者を「悩みながらも自ら問題を見つけたり、長い時間の中で培われた自分の価値観や生活信条に基づいて行動しようとする姿」すなわち「生活者」として捉えた新たな関係の構築が試みられている。高齢患者の体験の実態を高齢患者自身の立場から捉えることができるよう平成21年度も継続して、インタビュー・分析を継続していこうと考えている。
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