2009 Fiscal Year Annual Research Report
動物との交流をめぐる認知症高齢者のコミュニケーションの発展性:縦断的観察から
Project/Area Number |
20791774
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Research Institution | Sapporo City University |
Principal Investigator |
河村 奈美子 Sapporo City University, 看護学部, 助教 (50344560)
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Keywords | 看護 / 認知症 / 高齢者 / 精神看護 / アニマル・セラピー / 人と動物 / コミュニケーション / 老年看護 |
Research Abstract |
本研究の目的は、対人交流やコミュニケーションに支障を持ち、認知症治療病棟に入院している高齢者に、AATや動物を活用したレクリエーションを実施し、継続的かつ詳細な観察や評価を通して患者-動物間、動物が存在する環境での患者間、患者-スタッフ間における、コミュニケーションのありようを詳細に記述し分析し、その発展性を検討することにある。 本年度は、2施設の認知症病棟におけるアニマルアシステッドアクティビティ(AAA)実施により、昨年に引き続き、対象者に6回のAAAを実施し、その活動中の対象認知症高齢者反応やコミュニケーションを記録した。同時に精神機能評価に関して尺度(GBS、MENFIS、N-ADL、MNスケール)を用いて記録し分析中である。 また、対象病棟における職員に対してAAA前、6回実施後、12回後に、参加高齢者に関する質問紙調査を実施し、集計している。AAA実施前の回収率は98.03%、6回後は86.66%である。現在12回後の質問紙を回収中である。職員に対する質問紙調査の分析からは、職員のAAAの参加経験が無い方が、AAAに対して高齢者の意欲やコミュニケーションの活性化という効果に期待が高い。同じ職員に6回後に調査した結果、AAA開始前よりも高齢者の犬・他者・ボランティアに対するコミュニケーションについて評価が低くなった。単に動物が訪問されるというだけで、他者とのコミュニケーションが自ずと活性化するというわけではないことを職員らが評価しているといえる。参加高齢者は「犬が好きである」という項目は高い評価を持続している。つまり、高齢者が犬に友好を示すことは職員からも読み取れるが、それが必ずしも認知症高齢者のコミュニケーションの活性化にはつながらないと感じていることが明らかになった。 さらに、認知症対象者のAAAにおける参加中のコミュニケーションのビデオ観察からは、犬の行動や状態に関する発話は初めから比較的多く見られており、継続して分析中である。
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