2010 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症児の行動評価尺度を用いた療育効果と自閉症児の行動変容が与える母親への影響
Project/Area Number |
20791790
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
別宮 直子 大阪府立大学, 看護学部, 講師 (30438246)
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Keywords | 自閉症児 / 療育 / 母親 / 行動評価尺度 / 心の健康自己評価質問紙 / 行動変容 |
Research Abstract |
平成22年度には、平成21年度に引き続き初回調査から3ヵ月後、6ヵ月後、9ヵ月後の計4回におよぶ調査を終えることができた。初回調査では32名の対象者から回答をもらい、計4回におよぶ縦断的調査では最終的に18名の対象者から回答をもらった。18名を事例毎に検討することで児の行動特性が明らかとなり、行動変容の個別性や行動変容の経時的変化を捉えられることが明らかとなった。児の行動変容による母親の精神面への影響では、自閉症児の行動評価尺度に改善がみられた改善群と改善がみられなかった非改善群とで初回調査時の児の症状の程度に違いはなかったが、初回調査より母親の心の健康度・疲労度は非改善群が心の健康度は悪く、疲労度は大きいことを示していた。このことは児の行動が母親の精神面に影響するだけでなく、母親の精神面の均衡が児の行動を捉える際の客観性に影響していることが考えられた。児の行動変容はその児の症状特性が大きく関連しており、なぜ生じるのか理解を困難にする。母親に児の行動を経時的に示すことで、これまでの療育効果が検証できると共に、生じている行動変容の状況判断の一助となり、母親が操作的に捉える意義は大きいと考える。また、現在、自閉症児の療育支援に関心が高いが、本研究を行うことで、継続した療育を担う自閉症児をもつ母親をサポートする上で、自閉症児を持つ母親という役割だけでなく、社会や家庭で異なる役割を担えるような支援、母親が自身の時間を確保できる多様な支援機関の充実が不可欠であることが示唆された。
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Research Products
(1 results)