2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20791794
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Research Institution | Kochi Women's University |
Principal Investigator |
冨川 順子 Kochi Women's University, 看護学部, 研究員 (90433010)
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Keywords | 回復 / recover / resilience / 回復力 / 統合失調症 / リジリエンス / レジリエンス |
Research Abstract |
統合失調癌の診断後、2年以上安定して地域生活を送る、調査への同意を得ることができた33名 (関東、関西、四国在住) に、病から回復する経験についてライフストーリー法によるインタビュー調査を行った。 得られたデータを逐語録に起こし、統合失調症を持つ人のresilience (回復力) を構成する(1) 逆境の経験、 (2) 回復する力を促進する過程、 (3) 対象者が発揮した力という視点から、テーマを抽出し、同じ意味を持つと考えられるテーマのカテゴリー化を、10名 (診断後経過年数5年未満2名、5〜110年未満3名、10年以上5名) について行った。 その結果、 (1) 対象者にとっての統合失調症になる経験とは、幻覚や妄想に圧倒されて徹底的な無力感と敗北感を味わう経験であり、 (2) 回復とは、その時できることを積み重ねて無力から立ち直る過程、人や薬に頼りながら人と自分への信頼を高めていく過程、症状への敗北を認め病の自分を赦し、症状に積極的に関与していく過程であり、 (3) 対象者が発揮した力としては、無理のない程度に続ける努力、信頼関係を結ぶ力、経験から学習する力が捉えられた。10年以上経過した対象者には、自己の新たな力と成長を語る対象者がおり、統合失調症という病になっても個人ごとに内容は異なるが、成長する力があると考えられた。 本研究の分析を続行し、統合失調症を持つ精神障がい者が回復の過程で共通して持つストーリーを明らかにすることで、統合失調症を持つという逆境から回復する対象者の力 (resilience) について、病になつでも成長する力、当事者が回復のためにできる取り組み、回復の過程を援助するケアへの示唆力弐得られると考えられた。
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