2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20791802
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
杉山 智子 Juntendo University, 医療看護学部, 講師 (90459032)
|
Keywords | 看護学 / 認知症 / 入院高齢者 / 転倒リスク |
Research Abstract |
本研究は、病院に入院中の認知障害をもつ、特に認知症高齢者を対象とし、病院版認知症高齢者転倒危険予測尺度の開発につながる転倒リスク因子の探索と効果的な転倒予防方法を明らかにするための示唆を得ることを目的とした。平成21年度は、平成20年度から継続していた調査を終了したため、分析した結果を基にして、尺度の再構成を行った。初回調査では、関東地区にある認知症専門病棟を含む高齢者専門病院または高齢者の割合が多くを占める4病院15病棟817名を対象とした。このうち、臨床的認知症尺度(CDR)で、「認知障害なし」にあたるCDROに該当した40名を除く777名を分析対象とし、統計学的分析を行った。調査期間中の転倒者は123名(15.8%)であり、転倒事故の件数は227件であった。1名につき2回以上の転倒者は41名(33.3%)であった。転倒者と非転倒者の間で有意な関連がみられた項目は、レビー小体型認知症、身体的な治療の有無、転倒経験、歩行状態、予防措置、認知症の重症度、ADL、BPSDであった。また、BPSDのうち「否定」、「暴力」で関連がみられた。初回調査の結果から、尺度を再構成し、認知症患者が入院する2病院3病棟で3ヶ月間の調査を行った。再構成した尺度の内容は、認知機能、BPSD、薬物、移動、排泄、入院期間、転倒経験とした。対象者は欠損データを除いた169名で平均年齢は81.6±8.6歳、性別は女性が多く107名(63.3%)であった。調査期間中の転倒者は25名(14.8%)、転倒事故の件数は41件であった。転倒者と非転倒者の間で有意な関連がみられた項目はBPSD、薬物、移動、転倒経験であった。また、看護師による予防措置が行われていたにもかかわらず転倒事故が生じていた事例も多かった。これは予測ができていても適切な対応ができていない事故や防ぐことができない事故があると考えられる。
|