2010 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の低照度におけるベッド移動時の視線変化に関する研究
Project/Area Number |
20791804
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
辻 容子 東邦大学, 医学部, 助教 (80460103)
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Keywords | 転倒 / 光環境 / 視線変化 / 高齢者 |
Research Abstract |
本研究は,夜間のベッドまわりで多く発生している転倒・転落について,高齢者の視覚情報に注目し,低照度における高齢者のベッド移動時の視線変化について特徴を明らかにすることを目的としている.また,照度の違いによる視線変化の特徴を明らかにするとともに,高齢者に必要な夜間のベッド周りの光環境について,看護師の視点から検討した. 平成22年度は,高齢者を対象に実験を行うための調整を行うとともに,前実験の分析を深めた.若年者と高齢者を対象に実験を行い比較検討した結果,所要時間は両群とも21x室内のほうが2001xよりも有意に動作時間が長く,21x室内では足を下ろした時にスリッパを蹴り,足先でスリッパを探したため時間を要するものが両群にみられた.移動中の視線変化は,若年者群では移動する先を移動する傾向であった.一方,高齢者群では,2001x室内の時には室内前方へ視線を移していた者が,21x室内の時は室内前方へ視線を移す者が少なく,前方地面から扉へと視線が変化する傾向がみられた.注視割合は,照度の違いを比較すると2001x室内では「扉のとって」の割合が高い傾向であり,高齢者群は若年者群より比率の差が多い傾向であった.重心動揺計測は,高齢者群の開眼時に21x室内では2001x室内よりも立位姿勢の修正が多くされていたことが示された.これは,明るい部屋より暗い部屋の時では,バランスを保つために必要な視覚情報入手量が減少し,不安定な状況下で異動先でなく近い距離にある前方地面に視線を集中していることが考えられた.また,明るい部屋の時には,前方にあるとってを注視する傾向であり,夜間には光の目印となるものが必要と考える.
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