2009 Fiscal Year Annual Research Report
高齢透析者のセルフケアに影響を及ぼす要因―量的および質的アプローチから―
Project/Area Number |
20791806
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
清水 由美子 Niigataseiryou University, 看護福祉心理学部, 非常勤講師 (30328330)
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Keywords | セルフケア / 血液透析 / 高齢者 |
Research Abstract |
高齢透析者のセルフケアに影響する背景要因およびセルフケアに対する支援の効果を明らかにすることを目的とし、5年毎に実施されている全国透析患者実態調査(2001年,2006年)のデータを二次分析した。背景要因の分析には、二つの調査で生年月日、性別、透析開始年月が完全に一致したものを結合したデータを用いた。セルフケアは食事管理に関する項目でとらえ、「塩分・水分管理」および「カリウム・リン管理」をベース時(2001年)と5年後で比較した。それぞれ二時点とも実施または5年後に実施に転じた場合にセルフケア実施群、他を非実施群として二群を比較した結果、塩分・水分管理でのみ差がみられ、実施群では年齢が高く、循環器系合併症をもつ割合が高かった。ロジスティック回帰分析では、塩分・水分管理において年齢のみ有意な効果を示したが、性別や糖尿病有無、透析年数、合併症はいずれに対しても効果をもたなかった。2006年調査のデータのうち、医療従事者への相談経験に関する項目を情緒的または情報的支援に関する変数とし、水分・塩分管理とカリウム・リン管理に対する医療従事者からの支援の効果を年齢別にロジスティック回帰分析により検討した。水分・塩分管理では、65歳未満と65歳以上の群に共通して、主治医、看護師、栄養士からの支援がプラスの有意な効果をもっていた。カリウム・リン管理では、いずれの年齢群にも共通して主治医以外の医師と栄養士の支援プラスの効果をもち、さらに65歳未満の群で看護師、臨床透析技士からの支援がプラスの効果、ソーシャルワーカーからの支援がマイナスの効果をもっていた。セルフケアへの支援では家族の関与が大きいことから、患者と家族双方のセルフケアに対する認識や協力体制に関する半構成的面接を実施した。家族でも患者同様、食事管理等は生活の一部と認識されているものの、検査データ等に照らして自らの生活を振り返る機会のある患者に比べ、情報を得る機会が少ない家族では悩みを抱える可能性が示唆された。
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