Research Abstract |
一般集団を対象とした研究では、社会的支援がある方が健康行動をとると報告されているが, ホームレス者の結核検診受診, 健康診断受診, 疾病の治療継続等の健康行動に社会的支援が影響しているのかを明らかにすることを目的として, 大阪市高齢者特別清掃事業登録者に対して, 平成20年1月〜2月に構成的質問紙を用いた聞き取り調査を実施した. 調査内容は, 既往歴, 治療状況, 結核検診の有無, 健康診断の有無, 喫煙状況, 飲酒状況, 寝場所, 教育歴, 家族・友人との交流状況, ソーシャルサポート尺度, HLC尺度とした. 今年度は, 調査データを詳細に分析し, さらにピアサポートグループ構築へ向けて専門職に対して協力依頼を行った. 質問紙調査への協力に同意したものは, 112名であった. すべて男性で, 50代が33人(29.5%), 60代が70人(62.5%), 70代が7人(6.3%), 80代が1人(0.9%)であった. 相談者がいるものは55人(50%)であり, 半数以上で友人が相談者となっていた. ソーシャルサポートの得点は27.8±7.7(mean±SD)であった. HLC得点は, 39.3±6.7であった. ソーシャルサポートと受診行動, 健康に対するコントロール所在に有意な関連は認められなかった. さらに, ピアサポートグループ構築に向けて, ホームレス支援をしている看護師, 医師, 支援団体職員に意見を聞いた. ピアサポートや定期的な集まりについて, 難しいかもしれないという意見であった. 今回の質問紙調査との結果も合わせて, ピアサポートグループについて検討が必要である.
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