2010 Fiscal Year Annual Research Report
接触と同調のコミュニケーション研究‐海洋動物イルカの視点から‐
Project/Area Number |
20800014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 麻衣 東京大学, 生命科学ネットワーク, 特任助教 (40512299)
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Keywords | 社会行動 / コミュニケーション / 動物行動学 / 認知科学 / 海洋動物 / イルカ / 鯨類 / ハクジラ亜目 |
Research Abstract |
イルカにおける接触・同調コミュニケーションの進化の原因を考察するため、種間の行動比較を目的に、データ収集及び分析を行った。大阪府海遊館にてカマイルカを対象に目視観察とビデオ撮影を行った。その結果、カマイルカもミナミハンドウイルカ等と同じく、胸ビレで相手をこするラビング行動を行うが、その持続時間はミナミハンドウイルカに比べて短い等、共通点と相違点が見いだされた。千葉県鴨川シーワールドの飼育バンドウイルカと伊豆諸島御蔵島の野生ミナミハンドウイルカを対象にラビング行動(鴨川859例、御蔵561例)を比較した。体をこすられる個体(ラビー)が胸ビレを使う個体(ラバー)に接近し始まり、ラバーがラビーから離れて終了する例が多いこと、ラビーが横向きや逆さ向きなど通常とは異なる姿勢をとることが多いこと、母子および同性同成長段階同士がラビングを行うことが多いことなど、2グループ間で多くの共通点が見出された。このことからバンドウイルカ属ではラビング行動は類似した機能を持つ可能性が示唆された。この成果をKyoto University International Symposium及び日本水産学会春季大会にて発表した。野生イルカの接触・同調コミュニケーションの分析のため、バイオロギング手法を用いて研究を進めた。野生スナメリを対象として、バイオロギング手法を用いて取得した複数個体の潜水深度データから同調コミュニケーションの有無を分析する方法を確立し、学術雑誌に投稿した。野生コビレゴンドウへの吸盤を用いたデータロガーによる行動記録の有効性を示し、学術雑誌へ投稿し受理された。野生コシャチイルカの吸盤データロガー装着への拒否反応が少ないことを学術雑誌へ報告し、受理された。イルカにおける同調・接触コミュニケーションに関するこれまでの研究成果を、水産学会ミニシンポジウムにて発表および日本水産学会誌へ投稿し、受理された。また、書籍Advances in Sociology Research,Volume 11の一章として執筆した。
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Research Products
(6 results)