2008 Fiscal Year Annual Research Report
車体型ブレイン・マシン・インターフェースヘの持続的な接続の影響に関する基礎的研究
Project/Area Number |
20800016
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
深山 理 The University of Tokyo, 大学院・情報理工学研究科, 助教 (30508205)
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Keywords | 神経インターフェース / 神経科学 / 知能ロボテイックス / 生物・生態工学 |
Research Abstract |
本研究は、我々が開発してきた車体型BMI「ラットカーシステム」を用い、生体が長期間BMIに接続された際に生じる脳および身体運動変化について、定量的な解明を目指したものである。今年度は主として、ラットを搭載したまま長時間稼働可能で、かつラット脳内の状態変化を定量化可能な実験系の開発を行ってきた。 最初に、神経信号計測に用いられる電極を改良し、脳のより広域からの信号を一括して計測可能とした。また、神経発火の検出方法に改良を加え、ラットの体動アーチファクトに対する頑健性を向上した。これらは、後段の解析に耐えうる信号の安定した計測に必要な技術改良であった。 次に、神経信号によるラット歩行速度推定について、カルマンフィルタ型の適応的アルゴリズムの導入により、(1)歩行推定、(2)モデルパラメータ更新、(3)モデルパラメータのモニタリングを同時に進行可能なシステムを構築した。モデルパラメータは、脳内の状態と実際の身体動作(歩行)とを対応付けるものであるため、これが適応的アルゴリズムによって更新されるとき、脳内の情報表現変化の一端を表現可能であると考えられる。実験においては、実験開始後30秒程度の間にモデルパラメータは収束し、その後数分間にわたって比較的狭い変動範囲に留まる傾向があった。その一方で複数のパラメータの突発的な変動や一部のパラメータのみが緩やかに変動する様子等も見られた。これらの要因としては、脳内の状態変化のほかに、脳そのもののダイナミクスを十分に表現できていない可能性、電極の位置ずれのような外的因子も考えられ、今後これらの要素を分離する必要がある。 最後に、長期間の実験を安定して行うために開発予定だった懸架型の車体は未だ完成していない。ただし、動力を持たないモックアップの作成と、ラットを懸架・固定するための器具について開発が進んでおり、系全体の統合への見通しを立てることができた。
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