2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20800023
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加藤 有己 Kyoto University, 化学研究所, 研究員(科学研究) (10511280)
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Keywords | RNA2次構造 / RNA-RNA相互作用 / 多重文脈自由文法 / タンパク質2次構造 / βシート / 動的計画法 / RNA-タンパク質相互作用 |
Research Abstract |
近年、遺伝子の転写後調節等の能動的な役割を果たすRNAの機能が注目されている。生物学の経験則から、構造と機能の間には相関があると言われており、機能推定のためには構造を知ることが重要となる。生体内ではRNAのみならずタンパク質も折り畳み構造をとり、多くのRNAはタンパク質と結合することで機能を発現することが知られている。ところが、RNAとタンパク質の相互作用解析の重要性にもかかわらず、情報科学における手法を用いてモデル化する研究は数少ないと思われる。平成20年度ではまず、以前に提案した多重文脈自由文法(MCFG)の構文解析に基づくRNA-RNA相互作用予測モデルに対し、複数の既知のRNA-RNA複合体を扱うことで有効性の検証を行った。その結果、塩基対に基づく予測精度は平均にして約88%と高い数値を上げることができた。本モデルは形式文法に基づくRNAタンパク質相互作用解析に対する基盤を与えるものである。次に、タンパク質のβシートはRNAとの相互作用と密接に関係しているため、βシートに特化したMCFGに基づくモデル化、ならびに動的計画法(DP)を開発した。特に、DPによる平均予測精度は、アミノ酸残基ごとの評価で約77%、2次構造要素の重なり度合いを評価して約78%となり、既存手法と同等以上の性能を示した。なお、RNAと、それに複雑なトポロジーで結合するβシートの両者の構造をMCFGの枠組みの中でモデル化すると、予測に要する計算量が入力配列の長さの8乗のオーダーとなることが明らかとなったため、平成21年度では異なる観点から見て計算量の少ないRNAタンパク質相互作用のモデル化行う予定である。
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Research Products
(10 results)