2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20800023
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加藤 有己 Kyoto University, 化学研究所, 研究員(科学研究) (10511280)
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Keywords | RNA2次構造 / RNA-RNA相互作用 / 動的計画法 / RNAタンパク質相互作用 |
Research Abstract |
近年、遺伝子の転写後調節や触媒としての役割を担うRNAの構造と機能の解明のため、計算機や実験的解析に基づく様々なRNA解析手法が提案されている。生体内ではRNAのみならずタンパク質も折り畳み構造をとり、多くのRNAはタンパク質と結合することで機能を発現することが知られている。その意味で、RNAとタンパク質の相互作用を数学的にモデル化し、精度の良い予測法を開発することは重要な課題である。平成20年度では、形式文法でRNAとタンパク質の相互作用を複雑な構造レベルで完全にモデル化すると、計算量オーダーが高くなって実際の構造予測には不向きであることを示した。これは両方の配列をアルゴリズムに入力して同時に構造を予測することには大きな負荷がかかることを示唆している。そこで、平成21年度では視点を変え、構造予測の対象をRNA配列のみに限定し、相互作用する相手(タンパク質など)はプロファイルという形で情報を縮退させることを考えた。この考え方は新規標的の発見に応用可能である。まず、RNA・RNA相互作用予測に向けて、相互作用することが知られているRNAの結合部位の情報をもとにプロファイルを作成し、2次構造予測の動的計画法の漸化式に組み込むことで、入力配列の長さの3乗時間の予測法を開発した。また、提案手法を用いて、特定のRNAの推測標的RNAをいくつか示唆した。残念ながら平成21年度中に、タンパク質のプロファイルを作成してRNA配列におけるタンパク質結合部位予測の計算機実験を行えなかったが、このプロファイルに基づく予測手法が、実用的なRNAタンパク質相互作用予測への十分な基盤を与えるものと期待される。
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