2008 Fiscal Year Annual Research Report
超偏極キセノン磁気共鳴法による新規心肺機能診断法の開発に関する研究
Project/Area Number |
20800027
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
今井 宏彦 Osaka University, 薬学研究科, 特任助教 (40506466)
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Keywords | 核磁気共鳴 / 超偏極希ガス / 肺機能診断 / 呼吸機能イメージング / 慢性閉塞性肺疾患 / 肺気腫 |
Research Abstract |
本研究は、超偏極キセノン(Xe・129)MRI/MRSを用いて、新規心肺機能評価法を確立しようとするものである。当該年度では、まず肺機能評価を中心とし、測定手法及び解析モデルの構築、超偏極Xe・129生成装置の改良、MRI撮像パルス系列の最適化に関する研究を実施した。 超偏極Xe・129ガスを吸入した肺のMRS測定では、肺胞空洞部のXe(ガス相)及び肺組織・血液に溶解したXe(溶解相)の2つの信号を観測できる。本研究では、溶解相信母の飽和回復過程の測定と適切な解析モデルの適用により、自発呼吸するマウス肺において、肺胞隔壁厚、肺胞隔壁体積1空洞容積比(V_m/V_a)、肺血液の平均通過時閥を評価可能であることを示した。さらに、肺気腫モデルマウスを用いた実験から、肺気腫疾患に起因するV_m/V_aの減少を捉えることに成功した。近年、肺気腫を含む慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、罹患率及び死亡率の高さから早期診断法や治療法の開発が強く望まれている。本研究から、その新規診断指標(バイオマーカー)としてのV_m/V_aの有用性を示すことができた。MRI撮像パルス系列の最適化に関しては、上記パラメータの局所評価及び心機能評価に向けて、溶解相イメージングに有効と考えられるradial scanを検討し、溶解相画像の高感度化・高分解能化に成功した。また、ガス相イメージングの高感度化・高速化に向けて、balanced steady-state free precession(bSSFP)を検討し、並行して改良を行っているXe・129偏極装置との併用により、自発呼吸するマウス肺において呼吸時相を反映した画像取得が可能となった。自発呼吸下でのXe・129MRI測定は非侵襲であり、肺機能評価にとって非常に有効であるが、呼吸時相を捉えうる高速撮像が必要であった。この要求を満たすことができると判明した本手法を用いて、新規肺機能評価法の開発に取り組んでいる。
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Research Products
(1 results)