2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞外シグナルが誘導する神経細胞の極性形成機構の解析
Project/Area Number |
20800031
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
鳥山 道則 Nara Institute of Science and Technology, バイオサイエンス研究科, 研究員 (90457151)
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Keywords | Shootinl / 神経極性 / Netrin-1 / 軸索ガイダンス分子 / 軸索 |
Research Abstract |
発生時期の脳内において神経細胞の極性形成の方向性ならびに神経突起伸長の方向性は細胞外からのシグナルにより厳密に制御されている。本研究では細胞外シグナルによるshootin1のリン酸化修飾とリン酸化shootin1が神経極性形成に及ぼす影響について解析を行うことで、細胞外環境からのシグナルを受けうる条件下での神経細胞の極性形成機構の理解を目指した。質量分析法を用いた解析から、shootin1の4箇所のリン酸化部位(Ser101,Ser233,Ser249,Ser375)を同定した。個々のリン酸化部位に対して非リン酸化型変異体および擬似リン酸化変異体を作製し、培養海馬神経細胞内で過剰発現し神経極性形成に及ぼす影響を解析したところ、Ser101およびSer249の擬似リン酸化変異体を発現する細胞では野生型や非リン酸化変異体と比較し、有意に過剰な軸索の形成が確認された。この結果はshootin1のSer101およびSer249のリン酸化が神経極性の形成に重要な役割を担うと考えられる。更なる解析を行うためShootin1のSer101およびSer249のリン酸化を特異的に認識する抗リン酸化抗体の作製を行い、リン酸化shootin1の細胞内局在ならびに細胞外シグナルによるリン酸化の変動について解析を行った。Shootin1は神経突起先端に存在する成長円錐に強く濃縮するほか、細胞体や神経突起にも若干その存在が確認されが、リン酸化shootin1は成長円錐で特異的な局在が確認された。さらに軸索ガイダンス分子であるNetrin-1の刺激によりshootin1のリン酸化が上昇することを確認した。以上の結果から、細胞外シグナルによる神経細胞の極性形成にshootin1のリン酸化が重要であると考えられる。
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