Research Abstract |
これまでWeb上で学習者が問題を作成し,その問題を共有して学習を進める学習支援システム「CollabTest」の研究を行ってきた.本研究では,このCollabTestを同一大学や異なる大学で開講されている複数の科目間で利用する交流演習の実現を目指した.本年度は以下の研究成果を挙げた. 1.期待される効果の整理 CollabTestを利用した交流学習によって期待される効果は,交流学習に参加するクラス属性の差異(教員,学校,学習者の学年,専門性,知識,経験)に影響すると考えられる.そこで,交流学習に参加するクラスの差異とその具体例を列挙し,CollabTestを利用した交流学習によって期待される効果を整理した. 2.CollabTestを利用した交流学習の実践 前年度に開発した交流学習のための機能を利用し,平成21年度前期セメスターでは,創価大学の2人の教員によって開講された工学部の同一科目「プログラミング演習I」(以下,実験1)と,創価大学と愛知県立大学の2人の教員によって開講された類似科目「コンピュータネットワーク論」(以下,実験2)で交流学習を行った.後期セメスターには,創価大学経営学部で開講された「情報基礎論」と工学部で開講された「コンピュータネットワーク論II」で交流学習を実践した(以下,実験3). 3.システムの評価と機能改善 実践の結果,いずれの実験でもクラス間での意見交換をした学生は数名に限られたが,半分以上の学生が他クラスの問題を解答していた.実験1,2の実験後に実施したアンケートの結果では,46.4%の学生が他クラスで作成された問題を閲覧または解答して「刺激をうけた」と答えた.また,約66%の学生が他大学で作成された問題を解答することが学習に役立ったと回答した.今後はクラス間でより活発な意見交換が行われるようなコミュニケーション支援機能を検討する.
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