2009 Fiscal Year Annual Research Report
下肢不動化に伴う慢性痛の神経可塑性機序解明と治療に関する基礎的検討
Project/Area Number |
20800058
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
大道 裕介 Aichi Medical University, 医学部, 助教 (50506673)
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Keywords | 慢性痛 / 可塑性 / 脊髄 / ミクログリア / アストロサイト / 動物モデル / 不活動 / ギプス固定 |
Research Abstract |
複雑局所性疼痛症候群I型を代表とする神経損傷以外の原因で発症する慢性痛は、患肢の痛みが時間的増強を示し、痛みのボディエリアが患肢を超えて空間的拡大を示す慢性広範囲痛を呈し、難治性疼痛として問題性が高い。この病態機序解明のため、ギプス固定により下肢の不活動を強いることで慢性広範囲痛を生じるモデル動物を用い、機械的痛覚過敏行動の拡大と慢性痛の中枢性病因の一つとして予測されている脊髄グリア細胞活性化との関連について検証を行った。ラット(SD系雄性、10週齢)を用いて、ギプス固定慢性痛モデルを作製した。本モデルのギプス除去後1日目、6週目、13週目の足底部および尾部の機械的痛覚過敏行動をvon Frey testにて測定した。また同時期おける第4腰髄および第1仙髄、尾髄のミクログリア(OX42)およびアストロサイト(GFAP)を免疫組織染色し、後角における活性化細胞数および細胞数総の変化について定量化した。本モデルの固定側足底部の機械痛覚過敏行動が出現するギプス除去後1日目に、第4腰髄固定側後角でミクログリアの活性化細胞数および細胞総数の増加が認められた。さらに足底部機械的痛覚過敏行動が両側性に極大を示し、固定部から分節的に離れた尾部まで拡大するギプス除去後6週目に、第4腰髄後角に両側性のアストロサイトの活性化細胞数の増大が認められた。尾髄では片側性にミクログリアの活性化細胞数の増大が認められた。足底部の機械的痛覚過敏行動が減弱し、尾部の過敏行動が亢進を維持する除去後13週目では、第4腰髄のミクログリアおよびアストロサイトの活性化細胞数はともに減弱傾向を示し、尾髄では両側性のアストロサイトの活性化細胞数の増大が認められた。以上により本実験モデルにおける機械的痛覚過敏行動の時間的増強と空間的拡大に、脊髄グリア細胞の活性化とその広がりが関連している可能性が示唆された。
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[Presentation] ギプス固定慢性痛症モデルラットにおける脊髄グリア細胞活性化の変化2009
Author(s)
大道美香, 大道裕介, 大石仁, 櫻井博紀, 吉本隆彦, 森本温子, 橋本辰幸, 江口国博, 山口佳子, 中野隆, 熊澤孝朗
Organizer
第44回日本理学療法学術大会
Place of Presentation
東京
Year and Date
2009-05-29
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[Presentation] ギプス固定慢性痛症モデルラットにおける神経因性炎症の変化2009
Author(s)
大道裕介, 大道美香, 大石仁, 櫻井博紀, 吉本隆彦, 森本温子, 橋本辰幸, 江口国博, 山口佳子, 中野隆, 熊澤孝朗
Organizer
第44回日本理学療法学術大会
Place of Presentation
東京
Year and Date
2009-05-28