2008 Fiscal Year Annual Research Report
呼吸筋の酸素消費が高地での有酸素能力やパフォーマンスに及ぼす影響
Project/Area Number |
20800065
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Research Institution | Tokuyama University |
Principal Investigator |
小川 剛司 Tokuyama University, 経済学部, 准教授 (70451698)
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Keywords | 運動生理学 / 呼吸 / 低圧環境 / 呼吸筋 / 最大酸素摂取量 |
Research Abstract |
気道や気管支における物理的な流れの抵抗(気道抵抗)は高強度運動時の換気量(VE)の制限要因となることが報告されている.そのため,気道抵抗が軽減することで,換気量は増大する。一方で,気道抵抗の軽減によって呼吸筋群の仕事量や酸素消費量は低下することが予想されるが,これについては明らかでなかった. そこで平成20年度は,気道抵抗の違いにより呼吸筋群の仕事量および酸素摂取量(VO_2)は変化し,運動時の呼吸循環応答に影響を及ぼすか否かを検討することを目的として実験を行った.実験では,3,500m相当の低圧下と常圧下において,最大強度でのVEと同程度の過換気を3〜6分間行った.このとき測定したVO_2を呼吸筋での酸素消費量とした.また,口腔内圧を測定し,得られたデータから一呼吸サイクルにおける食道内圧に対する換気流量の積分値を呼吸筋群の仕事量として求めた. 本研究で用いた,標高3,500mの相当の低圧下の空気密度は0.78kg/m^3となり常圧下での12.0kg/m^3と比較して35%低下する.低圧下では常圧下よりも大きく気道抵抗が低下したことが考えられ,過換気試技時の酸素摂取量および計算された仕事量は常圧下よりも低圧下で有意に低値を示した.この結果はすなわち,低圧下では気道抵抗が軽減されることによって最大運動時の呼吸筋での仕事量および酸素消費が低下することを示唆するものである.これらの研究成果は,低圧下での運動時の換気応答(気道抵抗による換気量制限)の重要性を世界に先駆けて示すものであり,高山病の予防や効果的な高地トレーニング法の構築のための重要な基礎資料となる.
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Research Products
(4 results)