2009 Fiscal Year Annual Research Report
筋萎縮性側索硬化症における蛋白質凝集体の毒性発揮メカニズムの解明
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20800076
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
井上 信一 The Institute of Physical and Chemical Research, 田中研究ユニット, 研究員 (20466030)
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Keywords | 変異型SOD1 / 筋萎縮性側索硬化症 / アミロイド線維 / 蛋白質凝集体 / ミトコンドリア |
Research Abstract |
in vitro大量培養系により変異型SOD1を精製したものを、還元剤(DTT)存在下で撹拌培養することで、アミロイド線維が形成される事を確認した。アミロイド線維形成の判定にはチオフラビン蛍光色素やコンゴレッド色素などのアミロイド検出試薬を用いた。さらに、反応がみられた条件で電子顕微鏡観察を行い、アミロイド線維形成を直接的に確認した。それと同時に、変異型SOD1アミロイド線維のシーディング能の有無をチオフラビン蛍光色素との反応のタイムコースをとって解析したところ、シーディング効果がみられる事がわかった。今回、単離ミトコンドリア分画を反応液に混ぜる事で変異型SOD1のアミロイド線維化を促進するかの検討を行ったが、その様な効果は見られなかった。更に、ミトコンドリア特異的脂質成分を反応液に混ぜる事も試したが、促進効果は見られなかった。NeuroblastomaのN2a培養細胞株を用いて、変異型SOD1のアミロイド線維には毒性があることを確認した。また、凝集しやすくなった哺乳類細胞発現用プラスミドを模して酵母用に組換えることで、世界に先駆けて酵母のALSモデルの確立を目指したが、本研究の期間内にそれを作製するには至らなかった。しかし、酵母のALSモデルは、変異型SOD1の毒性が抑制される遺伝子や化合物を網羅的に探索する事が可能な強力な研究ツールになる事が期待されるため、研究期間後も作製を目指すべきだと考えている。
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