2008 Fiscal Year Annual Research Report
定量的評価における影響要因の研究と公平性向上のための統計モデルの開発
Project/Area Number |
20800081
|
Research Institution | The National Center for University Entrance Examinations |
Principal Investigator |
大久保 智哉 The National Center for University Entrance Examinations, 研究開発部, 助教 (80512136)
|
Keywords | 定量的評価 / vector model |
Research Abstract |
平成20年度においては,定量的評価に影響を及ぼす可能性のある要因を明らかにするために,質問紙法による調査をおこなった.調査によって得られたデータは,被験者によって決められたテーマに従って書かれた小論文を複数の評定者が評価をするといった形式の評価データである.この調査データについては,現在.影響要因を明らかにするために分析をおこなっているところである.この要因が明らかにされることによって,様々な状況で行われている定量的評価(例えば,入学試験における面接評価,小論文試験など)における実施時の注意点等が示されることが期待される.また,分析のためのプログラムについても開発した.一方,定量的評価における統計モデルの開発では,潜在変数モデルを理論的に発展させることによって,推定値により信頼性のある統計モデルを提案することができた.この研究成果は,2009年6月にフランスでおこなわれる国際学会において発表が予定されている.また,複数の評価対象を評価する状況における評価者の評価基準の変化に対応するための統計モデルについて研究をおこない,その成果についても現在,学術雑誌に投稿中である.この評価基準の変化に関する研究は,小論文評価や面接評価といった限定的な場面に限らず,経済学やマーケティングの分野における効用の変化を扱う研究分野にも応用が可能である.特に,行動経済学などの分野では人間の非一貫性のある選択行動が扱われることが多く,これらの定量的評価における研究成果も関連する領域に資するものになると考えられる.
|