2008 Fiscal Year Annual Research Report
神経疾患関連分子セプチンの神経細胞における分子機能解析
Project/Area Number |
20800086
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
篠田 友靖 Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center, 神経制御学部, 研究員 (80505652)
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Keywords | 細胞生物学 / 神経発生 / 大脳皮質発生 |
Research Abstract |
セプチンファミリー分子は、真核細胞生物において高度に保存されている、GTP/GDP結合タンパクである。神経組織特異的発現を示すSept14に焦点を絞り、その大脳皮質発生における機能を検証した。特異的抗体を用いた免疫染色実験の結果、Sept14は発生期の大脳皮質の皮質板および中間帯上層に特異的な発現を示すことが明らかになった。次にRNA干渉法と子宮内遺伝子導入法を用いて、脳室帯神経幹細胞でSept14のノックダウンを行った。その結果、Sept14ノックダウン細胞の皮質板での局在化に異常が認められた。この現象はRNAi耐性型のSept14の強制発現によりレスキューされたことから、Sept14が興奮性皮質神経細胞の正しい局在化に機能的に関与することが示唆された。さらに皮質神経細胞の分化、移動過程のどの段階でSept14が関与しているかを検討した。Sept14ノックダウン細胞におけるBrdU取り込み率は対照群との有為差が認められなかった。よって、Sept14は皮質神経細胞の移動過程において機能することが示唆された。更に我々はSept14の作用機序(分子メカニズム)を検証する為に、yeast two-hybrid法によりSept14の相互作用分子の同定を試みた。その結果、セプチンファミリー分子の一つであるSept4が候補分子として見出された。COS7細胞を用いた過剰発現系およびマウス脳抽出液を用いた免疫沈降実験の結果、Sept14とSept4が生理条件下相互作用することが確認された。次にSept4の皮質神経細胞発生における機能を検討する為に、脳室帯神経幹細胞でのSept4のノックダウンを行った。その結果、Sept14のノックダウンと同様の表現型が認められた。これらの結果は、特定のセプチンファミリー分子が皮質神経細胞の移動過程に機能的に関与することを示唆すると考えられる。
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