2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20800087
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Research Institution | National Research Institute Cultural Properties, Nara |
Principal Investigator |
山崎 健 National Research Institute Cultural Properties, Nara, 埋蔵文化財センター, 研究員 (50510814)
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Keywords | 動物資源利用 / 動物解体 / 解体痕跡 / 動物考古学 |
Research Abstract |
本研究の目的は「動物遺存体に残された解体痕跡から、動物資源利用の多様性を明らかにする方法論の確立」である。そのために、人間活動と残された痕跡を共に観察できる資料を材料として、(1)残された痕跡の位置や形状を客観的なデータとして記載する方法論を確立し、(2)その解体痕跡と利用目的・解体方法の相関関係を明らかにし、動物資源利用の実態を具体的に論じていく。 初年度である今年度は、北海道広尾郡大樹町においてエゾジカ猟に帯同して、エゾシカの狩猟調査を行った。そして狩猟されたエゾシカの解体行動を調査して、獲物の解体方法を記録した。また、解体の結果残された痕跡を検討するために、解体されたエゾジカ残滓から骨格標本を作製した。作製にあたってはエゾシカ残滓を煮沸し、流水下で除肉した。その後2週間程度風乾し、晒骨標本とした。以上の作業により、観察した解体行動と骨に残された解体痕跡の相関関係を明らかにした。さらに、自らも動物解体を行なった上で、骨格標本を製作して解体痕跡を観察し、解体行動と痕跡の相関関係を把握した。解体痕跡と動物の骨格・筋肉・腱などの解剖学的所見を組み合わすことにより、動物解体の目的を具体的に議論することが可能となった。 研究成果の一部は、2008年11月8日に開催された考古学協会のシンポジウム「農耕社会の民族考古学」(愛知・南山大学)、2008年11月29-30日に開催された動物考古学研究集会(島根・島根県埋蔵文化財調査センター)において発表した。
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Research Products
(2 results)