2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20800087
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Research Institution | National Research Institute Cultural Properties, Nara |
Principal Investigator |
山崎 健 National Research Institute Cultural Properties, Nara, 埋蔵文化財センター, 研究員 (50510814)
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Keywords | 動物資源利用 / 動物解体 / 解体痕跡 / 動物考古学 / 民族考古学 / モンゴル |
Research Abstract |
本研究の目的は、遺跡から出土する動物遺存体に残された痕跡から動物資源利用の多様な実態を論じる方法論を確立することである。 今年度は、モンゴルのザブハン県において、民族考古学調査を実施した。本調査地では、現在も多様な動物資源利用を行っており、肉や内臓を食料にするだけでなく、毛や皮、骨、糞なども様々な資源として利用している。この点が、考古学において過去の多様な物資源利用を明らかにするモデルとして有効となる。 本研究では遊牧民に帯同して、動物資源利用に関する参与観察と聞き取り調査を行なった。ヒツジやヤギなどの家畜を対象とし「捕獲段階」、「解体段階」、「利用段階」、「廃棄段階」、「廃棄後段階」において、遺物や遺構が形成される可能性を検討した。それぞれの段階で「動物資源利用に関わる人間行動」と動物遺存体が形成される過程」の対応関係を把握し、人間活動の結果として残された「痕跡」を動物考古学的方法で分析、記載した。例えば、解体段階ではオルルフと呼ばれる解体方法を観察し、どのような痕跡が骨に残されるのかを観察・記載した。廃棄後段階では、住居周辺に50m×50mの調査区を6ヶ所設定して、廃棄された動物骨を採集して分布状況を把握するとともに、動物考古学の方法により分析・記載した。分析は、食料や道具素材などの資源として利用された動物だけでなく、祭祀として用いられた動物や自然死した動物も対象としている。 本研究により、過去の動物資源利用を解釈するためのモデルとなる有効な知見を得た。また、現在のモンゴル遊牧民における動物資源利用を、動物考古学的な視点や手法で記録することができた。研究成果の一部は、2009年12月19-20日に開催された動物考古学研究集会(茨城・ミュージアムパーク茨城県自然博物館)において発表した。
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Research Products
(1 results)