2009 Fiscal Year Annual Research Report
堆積年代に応じた遠洋性海洋堆積物中の陸源破屑物の供給源推定
Project/Area Number |
20810007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小豆川 勝見 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 助教 (00507923)
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Keywords | 環境分析 / 地球化学 / 深海環境 |
Research Abstract |
2009年度では前年度で対象とした南太平洋よりもさらに南方にある南極海の遠洋性海洋堆積物を研究対象に用いた。これまでにほとんど明らかにされていない後期更新世から現世にかけての南極海の堆積環境を推定するため、ロス海およびスコシア海より採取された堆積物について、陸源破屑物の年代別供給量を明らかにする目的で機器中性子放射化分析(INAA)法および即発ガンマ線分析(PGA)法を用いた多元素分析を行い、同時に堆積年代別の海洋環境を評価する目的で堆積物に含まれる鉄の状態分析を^<57>Fe Mossbauer分光法を用いて行った。その結果、ロス海およびスコシア海の両堆積物ともに堆積年代別の主要な金属元素濃度に大きな変動はなかったが、その一方で、鉄の状態分析ではスコシア海堆積物には四極分裂値が極めて大きいダブレットピークを有する鉄化学種が存在した。詳細な検討の結果、この化学種が初生的な海緑石中に含まれるIII価鉄に由来するものと推定された。この化学種は堆積物表層に生じており、また堆積年代が増加するとともにその存在量が減少する特徴がある。スコシア海堆積物表層の堆積年代は^<14>C年代測定法によれば5.0kyr.程度であり、一般的に結晶性海緑石のようなフィロ珪酸塩の生成に必要に十分な堆積年代ではない。一方でロス海堆積物では同様の鉱物は堆積物全体で存在しないことから、近年のスコシア海堆積物は海緑石を局所的に生成させる強い還元的環境下にあったことが示唆される。
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Research Products
(2 results)