2008 Fiscal Year Annual Research Report
配座固定ペプチドを利用したポリグルタミン病の分子機構研究
Project/Area Number |
20810010
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松岡 茂 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 助教 (60456184)
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Keywords | 核磁気共鳴 / 有機合成 / ポリグルタミン病 |
Research Abstract |
本研究の達成目標は固体NMRによるポリグルタミン毒性凝集体の構造解明である。固体NMR測定には試料を約10 mg 調製する必要があるが、水、有機溶媒に不溶な凝集体を形成しやすいポリグルタミンを数十mgスケールで合成、精製することは困難であった。そこで、初年度はポリグルタミンの効率的合成および精製の検討、および凝集体形成に必要な最小ユニットの探索をおこなった。 まず初めに、長さの異なるポリグルタミンを自動固相合成により調製した。側鎖アミドをトリチル基で、主鎖アミンをFmoc基で保護したポリグルタミン保護体は、有機溶媒に良い溶解性を示す。この性質を利用し、純相HPLCを用いた保護体の精製により長さの均一なポリグルタミン保護体を調製することに成功した。得られた保護体は、ピペリジン、続いてトリフルオロ酢酸による脱保護に供し、単一の長さを有するポリグルタミン試料とした。 次に、長さの均一なポリグルタミンを用.いて、ポリグルタミンの長さと凝業体形成能の関係を精査した。ポリグルタミンの毒性は凝集体形成過程で発現すると考えられており、凝集体を形成しうるポリグルタミンの長さを正確に把握することは、毒性発現機構の解明に必須であった。凝集体形成の確認には、チオフラビンTによる蛍光染色実験を適用した。今回の我々の研究で凝集体形成が確認された最短のポリグルタミン長は、残基数7であった。これは一般的に認識されているポリグルタミンの毒性発現長(40残基)に比べ、はるかに短い長さである。今後は、本研究で発見されたポリグルタミン凝集体の最小ユニットを、固体NMRを用いて精密に構造解析することで、ポリグルタミン病の分子機構に迫りたい。
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