2008 Fiscal Year Annual Research Report
第一原理計算による窒化ホウ素ナノチューブにおける変形誘起電流発生機構の解明
Project/Area Number |
20810014
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木下 佑介 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 助教 (60509074)
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Keywords | 窒化ホウ素ナノチューブ / バンドギャップ / 変形誘起電流 / 第一原理計算 |
Research Abstract |
直径が大・中・小の3つの単層窒化ホウ素ナノチューブ(BNNT),直径大+中および中+小の2つの二層BNNT,直径大+中+小の1つの三層BNNTを対象とし,まず,無負荷状態における安定原子・電子構造を量子力学に基づく第一原理計算により求めた.その結果,チューブの原子配置は,ジグザグ型と呼ばれる構造を取るのがエネルギー的に最安定であることを確認した.また,多層の場合は,層間距離が約0.32nmとなるチューブを組み合わせ,内層の窒素(ホウ素)原子の上に外層のホウ素(窒素)原子を配置する場合が最もエネルギー的に有利であることも確認した.つぎに,各BNNTの安定状態におけるエネルギーバンド構造を解析した.3つの単層BNNTのバンドギャップは,直径が大きくなるほど大きくなるという結果が得られ,先行研究の結果と定量的にも良く一致しており,本研究方法の有効性・妥当性が実証された.二層および三層BNNTのバンドギャップは,最内層を構成する単層BNNTのバンドギャップの値に近いことが明らかとなった.また,最内層の直径が同じであれば,層数が多いほどバンドギャップが小さくなる傾向にあることを明らかとした. BNNTの無負荷状態における安定構造は,今後軸方向の引張/圧縮および半径方向の圧縮解析を行う際の基準状態となり,変形解析結果にも影響を及ぼすため,詳細な検討により得られた本年度結果は,研究を引き続き進行し,BNNTの変形誘起電流発生機構を明らかにする上で極めて重要である.
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