2008 Fiscal Year Annual Research Report
テレビドラマの政策資源性に関する実証研究:「北の国から」の地域振興効果を例に
Project/Area Number |
20810015
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
八幡 耕一 Nagoya University, 国際言語文化研究科, 准教授 (10452210)
|
Keywords | 地域振興 / フィルム・ツーリズム / オルタナティブ・メディア |
Research Abstract |
1.研究概要 本研究の目的は、マス・メディアのコンテンツに潜在する社会的影響力を政策資源と捉え、それが過疎地域の社会経済振興に及ぼす効果を実証的かつ多角的に分析することにある。本研究が対象とするのは、地上波テレビ放送のドラマである。なお、本研究は、政策科学的なメディア研究領域の確立を目指す全体研究構想の一環として行われる。「政策科学的なメディア研究領域」とは、メディア環境の変容や昨今の社会経済情勢を踏まえ、メディア研究と政策科学の架橋を改めて試みることを指す。 2.本年度の実績 本年度は、主に事例とするテレビドラマ、「北の国から」シリーズ(フジテレビジョン製作、1981〜2002年)の内容分析を実施した。具体的には表象内容と秒数に基づくコーディングと類型化を行い、類型基準としては、(1)自然風景のみ、(2)登場人物と自然風景の不可分的な描写(さらにこのカテゴリー内で複数に分類)、(3)登場人物のみ、(4)その他(明確な分類が困難なもの)の4つが適当であることが明らかになった。併せて、社会経済指標やその他の関連データ・文献等を収集・分析し、本研究の要となる評価枠組みのプロトタイプを作成した。これらの問題点抽出と実際の調査準備のため、調査地域に1回出張し、併せて研究協力者等との協議も行った。その結果、予備調査と本調査の実施前に、評価枠組みと質問票のさらなる精緻化が必要であると判断され、現在はその作業を継続的に進めているところである。なお、本年度はインプット中心に推移したが、本研究と関連したアウトプットとして、非主流的なメディアおよびそのコンテンツが内在させていると考えられる、社会的弱者にとっての意義や役割に関する論文を一編執筆し、所属機関で発行する媒体に発表した。
|