2008 Fiscal Year Annual Research Report
小型飛行時間型質量分析計による高エネルギー衝突解離を用いた生体分子の構造解析
Project/Area Number |
20810018
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
新間 秀一 Osaka University, 科学教育機器リノベーションセンター, 特任研究員 (30515896)
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Keywords | 質量分析 / 構造解析 / 高エネルギー衝突解離 / リン脂質 / チャージリモートフラグメンテーション / リン酸化ペプチド |
Research Abstract |
本年度は小型タンデム飛行時間型質量分析計が次年度稼働する予定であるため,既存の実験機を用いて,リン脂質やリン酸化ペプチド等の構造解析及び定量性の議論が可能か否かを検討した.現在稼働中の実験機は正イオン検出のみであるため,今年度の検討項目も当初計画していた通り正イオンで主に行った.今年度の進展としては特にリン脂質の構造,特に脂肪酸の構造が,高エネルギー衝突誘起解離で得られるプロダクトイオンスペクトルより完全に決定できることを見いだしたことにある.実験を進めた結果,リン脂質の脂肪酸の構造を反映するシグナルは非常に特徴的なパターンを示すことがわかった.この特徴的なパターンは様々なリン脂質標準品を用いて確認しており,どの脂肪酸の場合も同様なパターンを示すことがわかった.標準品で得られた結果をコイ樟体細胞より抽出したリン脂質混合物での解析に適用した.その結果,これまで報告のされていない脂肪酸の構造も解析することが可能となった.現在,本研究で確立した解析手法について論文を執筆中であり,今後はこのような脂質が生体内でどのような役割を果たしているのか検討をして行きたいと思う.リン脂質については,コイの棹体細胞よりロドプシンを抽出し,その抽出物に対し光刺激を与えたときのリン酸化部位とリン酸化度合いの検討を行っているところである.リン酸化部位の特定は既に高エネルギー衝突誘起解離を用いた手法で確認を行っている.現在は主にリン酸化が光刺激を受けてからどのように変化して行くか定量を行う為に,試料前処理条件について検討を行っているところである.次年度は報告者が現在開発している装置が稼働する予定であるため,今年度と来年度半ばまでに得られる知見を測定に反映して行きたいと考えている.
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