2009 Fiscal Year Annual Research Report
生理活性を利用した海洋天然物の未同定生合成遺伝子の取得と物質生産
Project/Area Number |
20810022
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
藤田 雅紀 Kumamoto University, 大学院・先導機構, 特定事業教員 (30505251)
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Keywords | 海洋天然物 / メタゲノム / 生合成遺伝子 / 生理活性物質 / 異宿主生産 / 色素生合成 |
Research Abstract |
【成果】熊本大学臨海実験所および長崎大学水産学部の支援を受けて、天草諸島およびトカラ列島沿岸にて海洋無脊椎動物および海洋環境サンプルの採集を行った。また従来法を改良することにより効率性の高い海洋メタゲノムライブラリの作成法を開発した。作成したメタゲノムライブラリは約10万クローンからなり平均インサート長は約35kbpであった。 得られたライブラリを抗菌物質生産アッセイや色素生産アッセイ等にてスクリーニングしたところ、300を超える低分子生産クローンを取得した。重複も存在するが、多くの化合物が大腸菌を宿主として生産できることを示した。またそのうちのいくつかについては、既にその生合成遺伝子を解析と生産物を単離同定した。 【意義】医薬品候補として有望な海洋生物由来の生理活性物質は多く知られているが、そのほとんどは供給量の問題から実際的な利用は不可能である。そこで、生合成遺伝子を用いた発酵法による生産が問題解決の鍵になると考えられる。本研究において、海洋環境由来メタゲノムライブラリから想像以上に多くの低分子化合物生合成遺伝子を取得し物質生産ができることを示したのは、医薬品開発という目標の第一歩として大きい。また、次世代シーケンサーの登場などメタゲノム研究は新たな局面を迎えつつあるが、遺伝子解析だけでなく実際に有機化学的な手法を駆使して化合物の生産と同定まで実行した例は世界的にも少なく、有機化学をベースとする我々の強みであると考えている。
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