Research Abstract |
平成20年度は,連鎖的流動のためのエントロピーモデルの構造を分析し,分布交通量を効率的に導出するための方法論を模索した.具体的には,申請者が提案したエントロピーモデルが,マルコフ性を有するために必要な諸条件について分析を行った,マルコフ過程を用いて,連鎖的流動を記述する試みは,交通工学分野における周回行動を想定した一連の研究が挙げられる.したがって,申請者が提案したエントロピーモデルと,マルコフモデルの理論的関係についても考察を行っている. 当該エントロピーモデルでは,特に,ゾーン制約を満たすための調整係数の計算が重要なポイントとなる.しかしながら,現在の計算アルゴリズムでは,調整係数やパラメータを導出するにあたり,考え得る連鎖的流動を,逐一個別に取り扱う必要があった.これに対し,特に調整係数のマルコフ構造に着目し,逆行列計算による新たなる計算アルゴリズムの構築を試みた。当該議論を通して,実データへの適用が現実的な時間で実行可能になることを確認した.これらの成果については,今後,更なる対外的発表を行う予定である. 一方,都市分析への応用としても,特に本研究の基礎となる空間相互作用モデルを用いた,都市システム分析を中心に分析を試みた.また,これらの研究成果について国内外の学会への積極的な投稿・発表を行った.
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