2009 Fiscal Year Annual Research Report
確率的ダイナミカルシステムとしての生物構造予測とその高精度化
Project/Area Number |
20810034
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
鏑木 崇史 Waseda University, 理工学術院, 助手 (10468861)
|
Keywords | バイオインフォマティクス / タンパク質構造予測 / 遺伝子発現ネットワーク予測 / ベイズ学習 / モンテカルロ近似 |
Research Abstract |
この研究はタンパク質のうち様々な分野から注目されている膜タンパク質の構造を予測するアルゴリズムを構築するものである。膜タンパク質構造予測問題は生命科学のみならず、創薬の分野などへの効果も期待されている。膜タンパク質は生体膜に存在し、細胞間情報伝達や物質の輸送など生命活動の基本的機能を果たしている。ゲノム中の20~30%は膜タンパク質をコードしているといわれており、その構造解明は創薬を含めいくつかの分野で重要と考えられている。しかし、膜タンパク質は結晶化が困難であり、立体構造が解明されているタンパク質のうち膜タンパク質は1%程度とまだ少ない。このような背景から機械学習による膜タンパク質構造予測アルゴリズムの開発が注目されている。 本研究では機械学習手法の1つ、隠れマルコフモデル(Hidden Markov Model、HMM)を用いる。HMMは時系列性のあるデータのモデル化に広く用いられており、手書き文字認識、音声認識、署名照合などの幅広い分野に応用されている。HMMでは観測されるデータの背後に「状態」が存在すると仮定する手法である。本研究では膜タンパク質の特徴的な構造をグラフ構造として表現し、膜貫通領域の数と膜貫通領域を予測するアルゴリズムを構築することを目指した。 本年度は膜タンパク質構造の予測問題に対し、HMMのBayes的アプローチをモンテカルロ実装したアルゴリズムを提案し、国際会議にて報告した。その際、新たな課題も見つかり、今後はモデルを拡張することを検討している。また、遺伝子発現制御ネットワーク予測問題に対しては、グラフ構造の事前知識としてスケールフリー性を考慮したアルゴリズムを国際会議にて報告し、論文化した。
|
Research Products
(4 results)