2008 Fiscal Year Annual Research Report
光によるスピン量子制御実現に向けた半導体量子構造での光応答の理論解析
Project/Area Number |
20810042
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Research Institution | Sendai National College of Technology |
Principal Investigator |
力武 克彰 Sendai National College of Technology, 情報工学科, 助教 (50515145)
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Keywords | 光スピン量子制御 / 量子状態転写 / 半導体量子構造 / 量子リピータ / 有限要素法 |
Research Abstract |
半導体量子ドット中の電子スピンはマイクロ秒オーダーのコヒーレンス時間を持ち、固体素子での量子情報デバイスを実現できる系として有望視されている。量子性を保ったまま、電子スピン状態を高速かつ高精度に制御する方法として、光パルス照射によるスピン状態間のラマン遷移を用いる手法が考案させている。そのような光による量子スピン操作の実現には、半導体量子構造の光学応答に関する詳細な知見、すなわち電子や正孔の波動関数の分布や光学選択則についての情報を得ることが必要不可欠である。本研究は、半導体量子構造中の電子状態を定量的に解析するシミュレータを開発し、そのシミュレータを用いて量子スピン操作に用いる光学応答を理論的に解析することを目的としている。平成20年度では、半導体量子構造中の電子状態を解析するための基礎理論の調査を主に行った。具体的には、GaAsなどのバルクの半導体におけるバンド構造を求めるk.p摂動法を半導体量子構造へ適応した、エンベロープ関数近似(EFA)について調査を行い、この近似法と有限要素法と相性が良く、コンピュータによる電子状態のシミュレーションが可能であることを確認した。また、基礎理論の調査により、半導体量子構造、特にGaAs/AlGaAs量子構造の光学応答に関して定性的な理解を深めることができた。その知見から以下2つの新たな光-スピン量子操作手法の提案を行うことができた。 (1)電子スピンの量子的な状態を、光を用いて断層的に測定する手法(量子状態トモグラフィ-) (2)波束の形(タイムビン)に量子情報が載せられた光子から電子スピンへ量子情報を転写する手法 なお(1)については実験グループとの共同研究により、実験による実証も行った。
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