2008 Fiscal Year Annual Research Report
微生物の共生関係を利用した新規培養法によるメタン生成古細菌の網羅的分離・培養
Project/Area Number |
20810046
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
酒井 早苗 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 極限環境生物圏研究センター, ポストドクトラル研究員 (70512911)
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Keywords | 分離・培養 / 嫌気性微生物 / メタン生成古細菌 / 共生 |
Research Abstract |
本研究では先に報告を行った嫌気共生培養法を様々な嫌気環境サンプルに適用し新規なメタン生成古細菌のさらなる分離を試みた。未培養なメタン生成古細菌が含まれると考えられる嫌気環境サンプル約10サンプルを植種源として、エタノール、酪酸もしくはプロピオン酸を基質に用い、嫌気共生培養法による培養を行った。エタノールおよび酪酸を基質とした培養系では約1週間から1ヶ月、プロピオン酸を基質とした培養系では約1-3ヶ月でメタン生成および微生物の増殖が確認された。集積培養系内の顕微鏡観察を行ったところ、メタン生成古細菌に特有の補酵素F_<420>由来の自家蛍光を持つ微生物と嫌気共生細菌と思われる微生物の存在を確認出来たことから、これら集積培養系内ではメタン生成古細菌と嫌気共生細菌が共生関係を構築することによって基質の分解を行っていることが推測された。次に、集積培養系内に存在するメタン生成古細菌と思われる微生物の同定を行うため、古細菌の16SrRNA遺伝子を標的としたDNAプライマーを用いてクローン解析を行った。その結果、既知のメタン生成古細菌の16SrRNA遺伝子と97%以上の高い相同性を持ち既に分離が報告されているメタン生成古細菌と極めて近縁な株由来と思われるクローン配列も存在したが、中には16SrRNA遺伝子の相同性が95%もしくはそれ以下を示し新規なメタン生成古細菌由来と思われるクローン配列も存在した。続いて、新規なメタン生成古細菌が実際に集積培養系内に優占的に存在しているかを確かめるため新規なメタン生成古細菌を標的としたDNAプローブの作成を行いFISH法による検出を試みた。その結果、水田土壌を植種源に用いた集積培養系内において標的のメタン生成古細菌が優占的に存在することが確認された。現在、液体培地や固形性培地を用いた希釈培養を行い、本集積培養系内から新規なメタン生成古細菌の分離を試みている。
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