2009 Fiscal Year Annual Research Report
微生物の共生関係を利用した新規培養法によるメタン生成古細菌の網羅的分離・培養
Project/Area Number |
20810046
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
酒井 早苗 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 海洋・極限環境生物圏領域, ポストドクトラル研究員 (70512911)
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Keywords | 分離・培養 / 嫌気性微生物 / メタン生成古細菌 |
Research Abstract |
嫌気共生培養法を用いて様々な土壌サンプルの培養を行った結果、分類学的に新規なメタン生成古細菌が集積培養されていることが昨年度までの研究で明らかとなった。しかし、嫌気共生培養法によって得られたこれら集積培養系内には、微生物の共生関係を利用するという本手法の特徴が故に、標的とするメタン生成古細菌以外にも嫌気共生細菌等が存在していた。そこで本年度は集積培養系内から標的とするメタン生成古細菌の純粋培養を試みた。標的のメタン生成古細菌が優占的に存在する集積培養系を植種源とし、一般的なメタン生成古細菌が単独で利用可能な基質であるH_2/CO_2やギ酸等を基質として、固形性培地や液体培地を用いた希釈培養を行った。分離作業の際は、標的とするメタン生成古細菌の16SrRNAに特異的なDNAプローブを用いてFISHを行い、標的のメタン生成古細菌が優占的に生育しているかどうかを確かめながら作業を進めた。これら一連の作業は純粋菌株が得られるまで繰り返し行った。その結果、プロピオン酸を基質として水田土壌の培養を行った集積培養系内からMethanomicrobiales目やMethanocellales目の新種を代表すると考えられるメタン生成古細菌を純粋培養することに成功した。その後、分離株の純粋性の確認を行い、分離株の至適生育条件や基質特異性など詳細な菌学的・生理学的特徴の決定を行った。そして、菌学的特徴が明確になった時点で最終的に分離株の記載命名を行った。
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