2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20810048
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Research Institution | The Great Hanshin-Awaji Earthquake Memorial Disaster Reduction and Human Renovation Institution |
Principal Investigator |
奥村 与志弘 The Great Hanshin-Awaji Earthquake Memorial Disaster Reduction and Human Renovation Institution, 人と防災未来センター, 主任研究員 (80514124)
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Keywords | 津波 / 防災 / 地域性 / 東南海・南海地震 / 地方自治体 / 想定 / 避難 / 持続性 |
Research Abstract |
東南海・南海地震津波を事例に、地域特性を考慮した、自治体による津波防災対策の効果的な実施に資する以下の研究成果を得た。 地震の規模によって、津波が局所的に大きくなることが分かった。地震の規模が大きくなるほど、津波高さの地域間の差は増大する。現在、国や地方自治体は、将来の東南海・南海地震に備えて、津波の外力想定を実施しているが、実際の地震が想定よりも大きな規模である場合には、特に豊後水道や紀伊水道を通過した津波が来襲する瀬戸内海沿岸の自治体は、地域によっては想定を大きく上回る可能性がるため、そのことを踏まえた避難行動支援が求められる。また、広域的に被災地支援を実施する国や自衛隊などの組織は、事前の外力想定とのギャップを念頭において、発災直後の情報空白期の活動戦略を検討しなければならない。 また、2009年9月のサモア諸島沖地震津波の現地調査(住民へのヒアリング調査)から、豊かな知識を持ち社会的に信頼の高い人物の避難指示には多くの人々が従うということ、海が引く(来襲する)のを目撃する、津波に飲み込まれるといった津波の脅威を直接知覚することが住民の避難トリガーとして最も効果的であることが分かった。 さらに、実際に津波が来襲した時に、避難に限らず各種津波防災対策が有効に作用するための検討として、津波防災対策の効果を持続させるための要件を明らかにした。すなわち、(1)組織の成員が対策の策定過程に参加する度合い、(2)対策の決定者が組織を離れないこと、(3)対策の恩恵を受ける成員が対策を変更あるいは修正できること、(4)対策導入を支援するカリスマ的個人が存在すること、の4つの視点が対策の持続性を検討するために重要であることが分かった。
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Research Products
(10 results)