2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20820003
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
森永 貴子 Hokkaido University, 大学院・文学研究科, 助教 (00466434)
|
Keywords | 露米会社 / 毛皮貿易 / 北太平洋 / アラスカ / サンクト・ペテルブルグ / キャフタ / 茶 / 権益 |
Research Abstract |
19世紀ロシア経済史の中で半官半民会社として特殊な位置を占めたロシア・アメリカ会社の経営を、「アラスカの植民地経営」と「ロシアの貿易統計」の二視点から検証し、同社の企業体としてのあり方と経営実態を解明することを研究目的とする。本研究の主な意義は、同時代ユーラシア地域および北太平洋北部の急速な植民地化・領土分割競争の経済的背景を明確にし、これら要因が帝政ロシアの外交政策決定に及ぼした影響について具体的事例を示すものである。経営史に着目する研究はソ連時代一貫して行われず、国際関係史・政治史主体の間接的研究が中心だったが、近年ロシアではA. lu. Petrov, The Formation of the Russian American Company. (Moscow, 2000)など、具体的なデータを扱った研究が刊行されており、日本との関係史も含めた新たな研究の方向性が示されている。こうした研究をさらに進めるにはロシアに赴いて古文書史料を精査することが必要不可欠であり、史料収集作業が本研究の主な柱である。平成20年度は科研費用支給が10月以降であったことから、ロシア連邦共和国、アメリカ合衆国における史料の所在、研究者との情報交換が中心となった。 調査開始に先立ち代表者はロシア・アメリカ会社成立史を扱った『ロシアの拡大と毛皮交易』(彩流社、2008年11月、単著)を刊行したが、これは科研費支給以前に準備した成果であるため、本報告書では成果に含めていない。本年度の主な研究成果はロシア・アメリカ会社を含む毛皮交易の主要拠点であったキャフタとイルクーツクの貿易に関するもので、11月に「国際商業史研究会」例会(西南学院大学)にて研究報告を行い、また東北アジア研究センターのシンポジウム報告集に論文1件を掲載した。
|
Research Products
(1 results)