2009 Fiscal Year Annual Research Report
マイトラーヤニー サンヒター「祭火の礼拝」章訳注研究
Project/Area Number |
20820004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
笠松 直 仙台高等専門学校, 総合科学系, 助教 (40510558)
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Keywords | ヴェーダ / インド学 / 宗教学 / 古代宗教 / 原典翻訳 / 民俗学 |
Research Abstract |
『マイトラーヤニーサンヒター(以下MS)』(前800年頃)「祭火の礼拝」章訳注研究の第二年度である。所属研究機関の変更があり,新任地で不足する一部基礎資料(辞書・索引,論文集,インド学関連テキスト・翻訳,計35冊)や,ゾロアスター教・イラン学関係の書籍(新刊書を中心に9冊)を購入した(→物品費)。東北大学インド学研究室所属学部学生1名に雑誌論文のコピー作業を依頼し,同大学院生1名に当方作成のテキスト校正の助力を得た(→謝金)。これは将来の出版に備えた原稿準備の一環である。 成果は国際学会発表1件(→旅費),そのアブストラクト掲載1件である。 後代の諸祭式綱要書(→物品費)が伝える儀礼次第を参照しつつ『カータカ・サンヒター(KS)』『タイッティリーヤ・サンヒター(TS)』対応個所訳注研究を行ない,再度立ち返ってMS「祭火の礼拝」章研究の精密化に努めた。この際,一部用語・語法について,索引を利用し全ヴェーダ文献に亙って用例調査を行ない,語義とその変遷の次第を再検討した。 このうちsvarga-の語は,新層の散文部分では専ら「天界」を意味する慣用的表現に残るが,古層の祝詞部分では形容詞用法が生産的である。他方MS「祭火の礼拝」章散文部分には形容詞用法が残存しており,当該個所の文体の古風であること,さらにはその成立が古層に属するであろうことが理解される。MSの史料的価値を再確認する知見と言える。 こうした検討については発表の機会を得ず,年度中の成果公表に至らなかった憾みがあるが,現在数件の関連発表を用意している。成果は間もなく公表の見込みである。
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Research Products
(2 results)