2008 Fiscal Year Annual Research Report
仏領植民地期北アフリカにおける都市・行政ネットワークの諸相
Project/Area Number |
20820023
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
工藤 晶人 Osaka University, 人間科学研究科, 特任研究員 (40513156)
|
Keywords | 歴史学 / 植民地 / 都市 / 行政 / フランス:アルジェリア:地中海 |
Research Abstract |
本年度はフランスにおいて国立図書館、国立公文書館、国立公文書館海外部門の三つの施設で調査を行った。近年のフランス植民地史の理論展開、植民地期アルジェリアの地方行政・入植都市の建設・それに伴う土地権利整理をめぐる諸問題について研究文献と史料の収集・整理を進めた。 そこで得られた知見は以下の通りである。フランス植民地史をめぐる理論は英語圏の研究との交流を深めつつ新たな展開を見せ、特にアルジェリア戦争期の研究は1990年代以降活発に続けられてきた。その一方で、現代史の背景をなす19世紀の植民地状況が研究史上の盲点となっている状況は基本的に変化していない。例外として、シチズンシップやナショナリティをめぐる法と社会の関わりという視角からフランス近代史を再考する動きが植民地研究へと波及し、新たな潮流を形成しつつある。同様の関心から本研究では土地をめぐる権利の重要性に着目し、本年度はその枠組みとなる法学説と行政について基礎的考察を進めた。 以上の作業に基づく成果発表として、19世紀フランスの植民地問題に関する法学説の展開を取り扱った論文(書籍分担執筆)1本、フランス植民地史をめぐる史学史的状況を整理した論文(雑誌掲載)1本の刊行が年度内に予定されている。また、19世紀後半から20世紀前半の植民地都市に関する比較史的考察をテーマとしたワークショップを企画開催し(2009年1月)、その冒頭でアルジェリアを事例とした口頭報告を行った。
|
Research Products
(4 results)