2008 Fiscal Year Annual Research Report
1930年前後中国における歴史学の形成:学術の同時代思想史
Project/Area Number |
20820027
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
竹元 規人 Fukuoka University of Education, 教育学部, 准教授 (80452704)
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Keywords | 思想史 / 史学史 / 学術史 / 疑古 / 顧頡剛 / 傅斯年 / 民族論 / 中央研究院 |
Research Abstract |
今年度(9月〜)は以下の内容に重点的に取り組んだ。(1)本研究の主要な研究対象である顧頡剛と傅斯年の中国古代史研究について,その著作において言及されている同時代の学者との関係も含め,比較しながら分析した。主に注意したのは,彼らが古代の史資料を具体的にどのように扱い,結果として明示的・非明示的にいかなる中国古代史像を提示したかという点である。これによって,両者の共通点と相違をより詳細に跡付け,1930年前後中国の古代史研究の形成と展開を,「疑古」などの単純な分類に収斂しない形で描き直すことを目指した。(2)顧と傅は共に中国古代史における「民族」の問題を重視していたが,その学術的背景と,古代史研究における内在的な意味,また現実の民族論との関わりを研究した。その際には,同時代の日本の中国史学よりする民族論との比較の視点も取り入れた。これによって,1930年前後中国の古代史研究が,現実の社会・政治との様々な緊張関係のもとで成立していったことを明らかにした。(3)顧や傅の構想した史学が,中山大学語言歴史学研究所から中央研究院,北京大学等へいかに展開したか,「社会科学」や「文籍校訂」等の領域との関係,また学術機関の制度的改変の側面も重視しながら研究した。 上記研究のため,9月に台湾で資料調査を行った。また,関係する文献を収集した。以上の研究結果として,3.2万字程度の論文を執筆し投稿した。2月に行った発表分とも合わせ,研究成果を来年度発表していく予定である。
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