2009 Fiscal Year Annual Research Report
日本の大学等におけるポルトガル語教育の意義と多文化社会に果たす役割
Project/Area Number |
20820030
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
高阪 香津美 Aichi Prefectural University, 外国語学部, 講師 (20512271)
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Keywords | ポルトガル語教育 / 外国語教育 / 多文化社会 |
Research Abstract |
外国語教育といえば、一般的に英語教育が連想されがちであるが、現在、100人に2人が外国人という状況の中、ここでは「外国語=英語」という図式に疑問を投げかけ、外国語の中でも、1990年の「出入国管理及び難民認定法」の改正以降、特に急激な増加をみせるブラジル人の母語であるポルトガル語に焦点をあて、大学におけるポルトガル語教育の現状と課題をアンケート調査により明らかにすることで、多文化・多言語社会へと移行しつつある日本社会における今後の外国語教育のあり方を模索することを目的としている。 平成21年度は、専門教育であろうとなかろうと、ポルトガル語教育を実施している大学を対象とし、ポルトガル語の学習環境やポルトガル語学習の位置づけを明らかにするアンケート調査を行った。その結果、いくつか特徴的なことを述べるにとどめるが、ポルトガル語を学習する前と後では、学習後にポルトガル語やブラジル文化に対する関心を高める学生が数多くみられた。また、ブラジル人やブラジル文化に対する捉え方については、ポルトガル語の学習の前と後で特別な変化はないと回答する者が多数派を占めているが、変化があった者の多くは、ブラジルを否定的なイメージから肯定的なイメージへと捉え直していることが明らかになった。 こうした調査結果から、ポルトガル語学習はブラジル人やブラジル文化をより身近に感じさせるだけでなく、彼らや彼らの文化を多面的に捉える能力をも養わせる機会を提供しているといえる。多文化共生が叫ばれる中、英語だけでなく、私たちの身近に生活している外国籍住民の母語を学習することは、互いを理解し、違いを認め合う上で非常に重要な役割を果たすものと考えられる。
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