2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20820032
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Research Institution | Fuji Women's University |
Principal Investigator |
松本 あづさ Fuji Women's University, 文学部・文化総合学科, 講師 (90510107)
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Keywords | 日本史 / 北方史 / 蝦夷地 / 異国船 |
Research Abstract |
本研究は、近世期における蝦夷地への異国船渡来事例、および関連史料のデータベース化を主目的とし、同時に事例の内容分析を進めるものである。調査は、関連史料の最も多い北海道・東北地方に重点をおいている。当初の計画では、今年度の調査対象地域を北海道に限定していたが、課題を鑑みて出来る限り道外調査を組み入れることとした。今年度実施したのは、北海道、岩手県、秋田県、長崎県での調査である。このうち北海道では、主に函館市中央図書館、北海道大学附属図書館での調査を行なった。共通して重点を置いたのは、ラクスマン来航関係文書であり、これまでの調査の延長線上にある松前藩復領期の関係史料についても補完した。次に東北地方であるが、岩手県立図書館、盛岡市中央公民館、秋田県立公文書館で、第一次幕領期前後の蝦夷地警衛関係史料を調査した。最後に長崎歴史文化博物館であるが、長崎県での調査を行なったのは、蝦夷地に漂着した外国人が同地を経由して帰国しているためである。 現在、収集史料のデータベース化に取り組んでいるが(今年度以前のデータを含む)、今年度の調査過程で得られた主な知見を述べておきたい。1.松前藩および長崎奉行所の史料から、外国人漂着民の長崎護送に関する詳細が明らかとなってきたこと。2.松前藩から幕府への報告書以外の文書から、公的な報告内容とは異なる、外国人と蝦夷地の人々との接触が判明すること。3.第一次幕領期の東北諸藩の警衛関係史料から、蝦夷地における異国船防備体制の構築過程を追えること。データベース化と同時に、これらの論点を中心とした、史料の内容分析も進めていきたい。
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Research Products
(2 results)