2008 Fiscal Year Annual Research Report
陽明文庫蔵仮名法語類の研究-「道書類」を中心として-
Project/Area Number |
20820046
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Research Institution | International College for Postgraduate Buddhist Studies |
Principal Investigator |
恋田 知子 International College for Postgraduate Buddhist Studies, 仏教学研究科, 研究員 (50516995)
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Keywords | 仮名法語 / 陽明文庫 / 物語草子 / 近衛 / 絵巻・奈良絵本 / 比丘尼御所(尼門跡) / 真盛 / 西教寺 |
Research Abstract |
「道書類」を中心とする陽明文庫蔵仮名法語類の調査・研究のため、継続的に文庫へ赴き、各作品の特定、および全文の翻刻紹介と考察に努めた。本年度は「道書類」に収められた十人種のうち、すでに全文翻刻紹介をおこなっている二作品(『雲居月双紙』、『恋塚物語』)に加え、あらたに『幻中草抄』、および『宝物集』の二作品について、内容を特定し、本文系統を明らかにした上で、全文翻刻を紹介発表した(『三田國文』47号、48号)。上記の作品以外についても、内容の特定作業と翻刻紹介を継続しておこなっており、次年度刊行予定のものに投稿済みである(『三田國文』49号ほか)。 さらに、すでに翻刻紹介をおこなった『恋塚物語』については、「比丘尼御所文化とお伽草子-『恋塚物語』をめぐって-」(『お伽草子百花繚乱』笠間書院)と題し、諸本を博捜しつつ、当該書の位置づけを明確にした上で、その所有者に三時知恩寺の尼僧が推定される点などから、「道書類」そのものについても、近衛家の子女が入寺した比丘尼御所における形成・享受の可能性があることを指摘した。 また、「道書類」のうち、真盛上人に深く帰依した尊盛法親王の逝去を悼み、西教寺第二世盛全が、文亀四年(1504)に制作した草子の転写本である『雲居月双紙』に関連して、京都西方尼寺に現存する真盛上人伝の絵巻についての考察をまとめ、比丘尼御所に近似した文化圏を持つ西方尼寺の様相、およびそこでの絵巻制作の特徴について論じた(「尼寺と絵巻-真盛上人伝の一型-」『説話文学研究』43、「江戸初期における絵巻制作の一背景-中井正知・杉原盛安の文化活動-」『藝文研究』95)。
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