2008 Fiscal Year Annual Research Report
銅鏡の受容からみる舶載文物への適応と古墳時代社会の特質
Project/Area Number |
20820056
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Research Institution | Otemae University |
Principal Investigator |
岩本 崇 Otemae University, 史学研究所, 研究員 (90514290)
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Keywords | 銅鏡 / 古墳時代 / 対外交渉 / 舶載文物 / 倭鏡 |
Research Abstract |
平成20年度については、研究実施初年度ということもあり、まずは倭鏡についてデータの集成、カード化を実施した。当初予定の範囲については、ほぼカード化・データベース化を完了した。あわせて、さらなる情報収集が必要と考えた資料については、実物資料の閲覧をおこない、写真撮影や図面の作成などを進めた。できるだけ多数の銅鏡を一括して出土した古墳に対象を限定し、さらに重要な資料を数多く所蔵する機関を訪問することで、効率化を図った。こうした資料収集の過程で蓄積した、とくに断面図は、研究目的である倭鏡のデザインと大きさの関係性に迫るうえではきわめて有効な材料となりうる。今後、継続してさらなるデータの蓄積が必要であることも痛感した。 さらに、今年度はすでに完了していたデータ収集結果をもとに、論考を発表した。いずれも三角縁神獣鏡にかかわるものである。とりわけ、東海地方をケーススタディとした、地域における銅鏡の受容のあり方について考察を試みた。生産面における分析をふまえて、分布の状況、出土遺構の種類、古墳の規模との関係性、古墳における副葬配置をもとに、地域における銅鏡の受容のあり方についてモデル化をおこなった。また、古墳時代前期において、銅鏡の受容形態に活気がみとめられることを指摘した。さらに、同様の視点で検討対象範囲を日本列島に広げた内容の論考も現在作成中である。 平成21年度は、引き続きデータの集成を進めるとともに、さらに論考の作成にとりかかる予定である。
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