2009 Fiscal Year Annual Research Report
銅鏡の受容からみる舶載文物への適応と古墳時代社会の特質
Project/Area Number |
20820056
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Research Institution | Otemae University |
Principal Investigator |
岩本 崇 Shimane University, 法文学部, 准教授 (90514290)
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Keywords | 銅鏡 / 古墳時代 / 対外交渉 / 舶載文物 / 倭鏡 |
Research Abstract |
平成20年度に作成したデータベースをもとに、全国各地の博物館や資料館、大学、教育委員会などで保管されている資料を可能な限り実見し、写真や図面による記録を進めた。研究機関の変更が生じたため、当初予定のすべてについて資料化を実施することはできなかったが、研究を進行するうえでの支障が出ないように配慮しながら、重要資料を重点的に調査した。 そのうえで、得られた調査成果をふまえて、とくに製作技術という観点から、漢鏡、三国鏡、倭鏡について比較検討を実施した。結果として、銅鏡の諸系統にみる製作技術の特徴をこれまで以上にはっきりとあぶるだすことができた。また、出土状況や出土古墳の規模や分布から、系統ごとに日本列島における流通形態が異なること、副葬方法についても相違があることを指摘し、銅鏡に対して多様な生産・流通システムが存在した可能性を述べた。そのうえで、古墳出現期において銅鏡の授受に際していかなる実態を想定しうるかを、地域における古墳の異同から説明することを試みた。とくに、三角縁神獣鏡が一元的な授受によって各地に分配されながらも、出土古墳にみる多様性が存在する背景として、前方後円墳成立期においては、王権と地域とのかかわりがあくまでも文物の授受を基軸としたものであったという事情を想定した。
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