2008 Fiscal Year Annual Research Report
フランスの公的芸術支援に関する研究-戦略としての芸術文化-
Project/Area Number |
20820058
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
永島 茜 Mukogawa Women's University, 音楽学部, 講師 (00509169)
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Keywords | 公的文化支援 / フランス文化政策 / 文化に対する公役務 |
Research Abstract |
本研究の目的は、フランスにおける文化に対する公的支援の考え方やその背景を調査研究することにより、我が国の芸術文化に対する公的支援の在り方について、示唆を得ようとするものである。フランスというと、芸術文化大国のイメージが形成されているが、これは芸術文化を戦略的に用いて、世界におけるフランスの存在をアピールしてきた結果とも言える。公権力が芸術文化を庇護してきた歴史もあるが、今日、芸術文化大国を想起させる施策は1980年代に導入されたものが多い。その大規模な文化予算の根拠として、「芸術文化は公役務」という国民的理解がある故と説明されるが、その根拠は文献にはあまり示されていない。従って本研究では、フランスの芸術文化に対する公役務について、その理念と実態を探ることが具体的研究内容となる。これに対し当該年度は、主に現地における文献・聞き取り調査及び文化省創設当時の議会資料を渉猟した。それらの資料をもとに、フランス文化政策の文脈から芸術教育について、二つの考察を発表した。これらは、ほぼ当初の研究計画通りの進捗状況である。しかし、研究期間の最終年度となる次年度は、学内委員など校務も増加しており、資料の分析などには余裕を持って取り組まねばならないと考えられる。そのために、当該研究内容に関する学会発表や論文の発表などを計画的に組み入れることで、適宜関係分野の研究者からの助言等も得ながら、研究成果の発表を行えるよう努力したい。
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