2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20820070
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Research Institution | The National Institute for Japanese Language |
Principal Investigator |
宮内 佐夜香 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, コーパス開発センター, プロジェクト特別研究員 (30508502)
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Keywords | 日本語史 / 文法 / 接続助詞 / 逆接条件表現 / 上方語 / 江戸語 |
Research Abstract |
平成21年度は近世上方語の逆接条件表現の調査・考察のための用例データベースの整備を行った。 一つに,活字本を資料として近世上方語の逆接条件表現全体の接続助詞の用例収集を実施し,データベース化を行った。用例収集を行った資料は『洒落本大成』(中央公論社1978-1988全30巻)全体より上方で出版された洒落本を選定したものである。これらに対して目視悉皆調査を行った。得られた用例について機能や属性等の確認を行い,各種情報を電子化した。これにより,昨年度代表的形式である「ガ」「ケレド」を中心に用例データベースを作成したものに,その他の逆接条件の表現形式のデータも加わり,近世上方語資料としての洒落本の逆接条件表現全体を分析するための用例データベースが整備された。 また一つに,貴重な近世末期の上方語の資料である『穴さがし心の内そと』(一荷堂半水・元治(1864-1885)頃刊)の本文の電子化の作業を行った。本資料は昨年度本研究課題の一環として名古屋市蓬左文庫(名古屋市東区)所蔵の写真版を複写したものである。これをもとに翻刻作業を行い,本文を電子化した。さらに,データベースソフトを利用して本文に各種情報を付与できるように形式化を行い,調査対象の用例を機械的な抽出,用例箇所のマーク等の情報付与等が可能な形のデータベースを構築した。 以上のデータベースの作成によって,近世上方語の代表的な口語資料における逆接条件表現の用例のデータ収集が完了したものと言える。これを利用することによって,逆接条件全体の表現形式の様相を効率的に分析することが可能となった。
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