2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20820072
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Research Institution | National Research Institute Cultural Properties, Nara |
Principal Investigator |
国武 貞克 National Research Institute Cultural Properties, Nara, 都城発掘調査部, 研究員 (50511721)
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Keywords | 更新世末期 / 社会変化 / 居住形態論 / 石器石材 / 石材獲得戦略 / 石材消費戦略 / 移動領域 / 高原山黒曜石原産地遺跡群 |
Research Abstract |
本研究の第一の目的は、まず後期旧石器時代後半期にあたる最寒冷期から縄文時代初頭にあたる完新世初頭までの各細別時期の居住形態を、行動論的な視点から高精度に分析することである。その際、具体的な移動領域や移動ルート、及び集団サイズや離合集散の検討を通じて、各細別時期の人類集団の居住行動についての古民族誌的な理解を目指している。本年度は、これまでの研究で消費石材の構成から居住形態の変化について分析が完了している関東地方と比較する形で、東海・北陸・東北地方の石器石材データを収集し分析を行った。また、近畿地方にて関連する資料の調査を行った。これと併行して関東地方の旧石器時代の主要な石材産地である栃木県高原山黒曜石原産地遺跡の発掘調査を行った。その結果、七ノ沢源頭部のトレンチでは層厚3m以上の石器包含層が検出されパミスと出土石器から包含層の下半部は旧石器時代に遡る可能性がある。また八ノ沢枝沢A源頭部のトレンチでは、縄文時代草創期の大型尖頭器の製作址が検出された。この時期の大型尖頭器製作址が高原山黒曜石原産地遺跡群で検出されたのは初めてであり、全国の黒曜石原産地における事例と比較しても貴重な例である。本研究課題である更新世終末から完新世初頭にかけての社会変化を、石材獲得戦略の変化から検討するためにも、大変貴重な資料が得られた。そこで今年度は、この資料の基礎整理を行った。資料の基礎的な分類、選別を行い、尖頭器製作関連資料を抽出して、図化し、概略の報告を行った。また、関東、東海、中部、北陸に分布する旧石器時代の高原山産黒曜石製石器の分布から、旧石器時代における高原山産黒曜石の獲得からみた地域集団間の関係と移動ルートについて分析を行い仮説を提唱した。そしてこの成果を石器文化研究会主催のシンポジウムにて発表した。
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Research Products
(4 results)