2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20830005
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
前田 陽 Otaru University of Commerce, 商学部, 准教授 (30451454)
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Keywords | 原価管理 / 原価改善 / 管理会計 / 利益管理 / 会計学 / 原価管理意識 / 自律的組織 |
Research Abstract |
本研究の目的は、全社的な利益管理と、それぞれの製造現場で実施される原価管理との結びつきを検討するものである。平成21年度は、本研究の一部成果を「日本電気における原価低減と利益管理」として日本原価計算研究学会第35回全国大会で報告した。本研究報告では、日本電気の原価低減活動はZD運動に端を発することを明らかにした。そして、ZD運動を機に、従業員たちが改善提案をし、原価低減活動に取り組むようになったこと。ZD運動には改善効果を測定する手法がなく、限界があったものの、間もなくIE手法を取り入れ、一般VEへと進化したこと。そして、計画した改善効果額を実現させるため、一般VEから進化してプロジェクトVEが行なわれるようになり、さらに改善効果額の実現を徹底させるため、プロジェクトVEも利益管理システムと結びつけてコントロールが図られるようになったことをも示した。同社が原価低減活動に積極的に管理会計システムを活用したのは、製品の価格競争が激しい上に、原価低減の主たるドライバーが半導体の開発・設計段階にあったからだと考えられる。すなわち、半導体の開発・設計段階には時間を要するが、劇的に半導体の市場価格が低下していくため、数年後でも価格競争力のある製品を生み出すには、どのくらいの原価低減が必要で、どのように実現させるか、キチンと管理会計システムと結びつけて把握しなければならない。それ故、日本電気の原価低減活動は成り行きで行なうのではなく、管理会計システムと結びつけて、その徹底が図られてきたのである。すなわち、本研究報告は、原価低減活動と利益管理システムが結び付いていった過程を明らかにしたことにおいて意義がある。また、本研究報告で明らかになった設備投資と利益管理システムとの関係については、「日本電気における設備投資プロセスの研究」として論説にまとめた。本研究は交付申請段階における目的をある一定程度果たすものであったが、まだ日本電気一社の事例を明らかにしたに過ぎず、研究の余地が大いにある。従って、本研究の質と量を改善させるべく、本研究を継続する予定である。
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Research Products
(2 results)