2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20830008
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
荒木 剛 Tohoku University, 大学院・文学研究科, 助教 (20510556)
|
Keywords | 侵入思考 / 自我異和性 / 思考抑制 / 認知評価 / 対処方略 |
Research Abstract |
様々な精神疾患における中核的な症状の一つに、意識への不快な思考(妄想、強迫観念など)の侵入がある。これらは、総じて侵入思考と呼ばれている。 精神疾患患者は、侵入思考に対して自我異和的な認知評価を行い、思考抑制(思考を"押さえ込む")に代表されるような不適切な対処を行っている可能性が高い。自我異和的な認知評価とは、侵入思考の内容が自らの道徳観や価値観と相容れない異質なものであるという評価のことを指す。思考抑制はリバウンド現象を引き起こして侵入思考の発生を増加させることが知られている。しかし、自我異和的な認知評価と思考抑制の関係を実証的に検討した研究はまだ行われていない。 20年度は、自我異和的な認知評価の程度を測定するためにPurdon et.al. (2007)が開発したEgo-Dystonicity Questionnaire(EDQ)を翻訳し、パーソナリティ、帰属スタイル、および対処スタイルとの関連について検討した。特にパーソナリティとの間に興味深い関係が認められ、神経症傾向の高い者は侵入思考に対する自我異和性を過大に評価している可能性が示唆された。また、開放性との間に負の相関が認められたことから、多角的な自己認知が侵入思考による自己像の混乱を防いでいる可能性も示唆された。帰属スタイルおよび対処スタイルとの間には有意な関係は認められなかった。
|
Research Products
(2 results)