2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20830011
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
寺島 瞳 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 助教 (30455414)
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Keywords | 対人行動 / 操作 / ドメスティック・バイオレンス |
Research Abstract |
ドメスティック・バイオレンス(DV)などに代表される病理的な二者関係に特徴的な問題は、一度成立した関係性から抜け出しにくいことにある。特に、被害を受けているにも関わらず、自らに非があるように思わされている被害者が多い。本研究の目的は、病理的な二者関係において、他者を操作する行動(操作)がどのように生起するか、また操作が病理的な二者関係の維持に果たす役割を明らかにすることを目的としている。 本年度は、病理的な二者関係の形成要因に関する最新の文献を展望するとともに、質問紙調査における調査項目の選定を行った。操作を測定するために、バス(1992)の開発した操作方略尺度の日本語版作成の準備を行った。さらに、文献展望の結果、同じくバス(1988)によって開発された配偶者所有尺度の使用も検討中である。配偶者所有尺度は恋人や配偶者を自分のもとに惹きつけておくための方略について幅広く測定している。操作もその中に含まれるが、それ以外にも、恋人を中傷する、脅迫する、常に監視する、他の男性と会わせないようにする、自分が所有していることを様々な方法でアピールするなど、DVに特徴的な行動が含まれている。病理的な二者関係の維持には、操作に限らず、このような幅広い方略が影響していることが予想されるため、調査項目に配偶者所有尺度を追加することを検討している。 来年度は以上の尺度の日本語版を作成して、大学生対象に調査を実施し、妥当性・信頼性を検討する予定である。また、夫婦カップルを対象に質問紙調査を実施し、病理的な二者関係の形成・維持にかかわる要因を検討する。
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