2008 Fiscal Year Annual Research Report
金融再建の政策過程-韓国、タイ、メキシコの比較研究
Project/Area Number |
20830015
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡部 恭宜 The University of Tokyo, 社会科学研究科, 助教 (00511445)
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Keywords | 政治学 / 経済政策 / 制度論 |
Research Abstract |
本研究の目的は、韓国、タイ、メキシコが1990年代の金融危機後に取り組んだ金融再建について、ミクロの政策過程を比較分析するものであり、各国の政策決定者の政策選好、選択肢、認識を分析し、従来の金融システムから受けた歴史的、制度的な制約を明らかにしようとしている。 平成20年度は、まず本邦において、各国の金融再建の動向、政策過程の事実関係を把握するため、英語、スペイン語、日本語の文献・資料の収集とサーベイを行った。 さらに各国の資料収集や関係者への聞き取り・意見交換を行うため、まず、タイで1ヶ月間の調査を行った。タイでは元財務大臣や元中央銀行総裁を含む政府関係者、民間銀行幹部、主要新聞社幹部など12名に聞き取りを実施したほか、大学教員や日本大使館関係者等と意見交換を行った。また、大学や政府機関で資料収集に努めた。 以上の現地調査により、タイの金融再建の政治過程について、本邦では得られない情報を得られたことは意義があった。調査結果については現在整理中ないし分折中であるが、危機直後の関係省庁間の政策上の対立や、国有化された銀行の再民営化の再編の中で外国銀行の役割が求められたこと等が明らかになりつつある。また、金融改革の一環として中央銀行の独立性を法制化する動きが危機後に始まっており、1997年の金融危機の責任が同行にあるとの批判が強かったことを考えると、この法制化の動きも金融再建の政治過程として研究対象として分析する必要性が生じてきたと思われる。
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